2009年度開講記念公開講座「ミームデザイン学校の今までと,これから」



日時| 2009年1月17日(土)18:00?20:00
会場|  青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山
主催|  ミームデザイン学校事務局
講師|  有山達也[グラフィック・デザイナー]
井口典夫[青山学院大学教授]
榎本了壱[プロデューサー]
勝井三雄[グラフィック・デザイナー]
古平正義[グラフィック・デザイナー]
左合ひとみ[グラフィック・デザイナー]
佐藤隆夫[東京大学大学教授]
鈴木一誌[グラフィック・デザイナー]
祖父江 慎[ラフィック・デザイナー]
田中 亮[編集者]
凸版印刷[グラフィック・アーツ・センター]
野村喜和夫[詩人]
中垣信夫[グラフィック・デザイナー]
松田行正[グラフィック・デザイナー]
山口信博[グラフィック・デザイナー]
ほか 50音順敬称略



2008年度ミームデザイン学校の授業最終日を数週間後に控えたこの日,次期2009年度の授業に向けて公開講座が青山ブックセンターにて開かれました。
ミームの08年度講師と在校生徒の他,09年度新講師の古平氏・榎本氏、入学希望の一般参加の方にもお集りいただいた。上はその会場風景。席を円周上に配置し、講師陣と在校生・一般参加の方が分隔てなく入り交じり,いっしょに一つの輪をつくった。ミームデザイン学校のこれまでとこれから新年度の授業について皆さんで話し合っていただきました。




まずは講師陣に2008年度の授業について振り返っていただくと同時に,学校に関するご意見等もいただいた。
また中盤では,事務局に寄せられた質問から発展して,「デザインは足し算か引き算か」という専門的なテーマにも話は飛躍した。

今回シンポジウムの進行もしていただいた鈴木氏。
自身の授業を,自分なりの問題意識をもった意欲のある生徒と真剣に授業をやることで「かなりの体験になった」と振り返る。
「歩いて一分で本屋がくっついているのは中々いい」「何か困ると実際の本を参照できる」とミームの環境についても評価した。

「指先でキーボートを叩くだけでなく,他にも体を動かしていく」。生徒がカッターや定規を使い慣れていないことが「新鮮だった」という有山氏。身体性をつかった授業に今後の教育の可能性があることを示唆した。

「まず声がベースにあって,次に文字化があってその先に本がある」。詩人の野村氏と一緒に授業を行った山口氏は,文字化する以前に本来はまず声が存在することの大切さをあらためて認識したという。「デザイナーだけだと,あそこまで色々な話ができなかった」と詩人とコラボレーションすることで文字と言語の本質を考える授業となった。

「文字ははっきり目に見える空間性をもっている」。山口氏とは逆に文字が持つかたちの大切さについて「門外漢だった」と自省する詩人の野村氏。文字を視覚的・空間的に捉える山口氏との授業は教える野村氏にとっても新鮮で楽しい授業となったようだ。

左合氏は凸版と共に印刷の授業を行った。最初は理屈にとらわれていた部分もあった生徒達が,1ヵ月の間に厳しい課題に耐えながら作品の質がメキメキと上がっていったのが嬉しかったと語る。「濃い授業ができた」と満足気に話された。

凸版印刷の講師の一人久保田氏。2ヵ月間の授業と錯覚するほど内容が濃かったと振り返る。「最初はどうなるかと思ったが最終的には深い作品ができあがった」「作品をつくっていく時の心構え・魂の持って行き方を学ばれた」と生徒達の成長を賞賛した。

左合氏と代わり今年から凸版印刷と組んで授業を行う新講師の古平氏。講師の中で最も若手のデザイナーとして,どんな刺激的な授業となるのか楽しみだ。

青山の街を調査する授業を行った松田氏。街の見方を変えれば,見落としている面白い発見があることを教えようとした。中垣氏と授業方針をめぐる葛藤もあったというが,あくまでも「自分でも好きな事をやれば他の人にも楽しんでもらえる」というスタンスを貫く松田氏。今年は専門過程を担当し、その授業内容の濃密さに期待。

松田氏と授業を組んだ井口氏。親交のある著名人を特別講師に招く計画や,ミームの活動をNHKに放映する計画等も示唆した。自身青山育ちの井口氏は,青山という環境だからこそできる刺激を生徒達に与えたいと語る。

新年度も昨年度と同じテーマでの授業を自ら希望する勝井氏。同じ授業をそのままやるのではなく「授業を進化させていく」とその気迫のある意気込みが感じられた。

佐藤氏は,やるまで授業がどうなるか分からなかったというが,実際には若い生徒達との実習があり,若い精神を持った勝井氏や中垣氏との対話あり,と「若い血を吸わさせてもらった」とおおいに刺激を受けたようだ。

今年からミームの新講師として加わる榎本氏は2人体制の教育について「ボケとツッコミのどちらかに徹したい」と語り,漫才のような教育システムを自身も楽しみにしている様子。

中垣氏から「好奇心がものすごい」といわれた祖父江氏。この日第一回目の授業を終えたばかりの祖父江氏は,自身も授業で生徒と一緒になって学ぶことがあって楽しかったと嬉しそうに語った。
「デザインは方法論だと思わない方がいい」「ものにぶつかった時にどういう風に考えていくか,どう体を動かしていくか,という授業じゃないか」とミームの授業に対する意見もいただいく。

祖父江氏とともに書と文字に関する授業を行った田中氏。編集者としての立場からデザインについて意見を話していただいた。デザイナーに仕事を頼むと瞬発力的にデザインが返ってくることがあるが,その背後にある過程に書道にも似た修練の魂のようなものを感じる事があるという。「書道も5秒か10秒でできてしまうが,その後ろに50年なら50年なりの修練がある」「しかしその50年というものが抜けてしまうと,1年か2年で世に忘れられてしまうものとなる」

一年を通して授業を聴講している代表の中垣氏は,ミームの生徒達が同じ課題テーマであっても予想もしていないものを出してくる人がたくさんいることに驚いたという。他人の作品によって自分の固定化されたものづくりのイメージが壊され,生徒にとってデザインに必要な根幹の想像力を大いに刺激される場となったことだろう。

一方で中垣代表は,仕事の中で現代の若い人に創造していこうとする力が非常に衰えていることも危惧する。「普段やっている仕事が既にある情報を組み立て直したり,レイアウトをきれいにしたりする手先のことしかやっていない」と批評した上で,「1年か2年で役に立たなくなるデザインの専門的なノウハウを教えるのではなく,他人と遊んだり体を動かしたりして,身体性から出てくる創造性を養おうとしている」とそのミームの教育方針を熱く語った。



今回のシンポジウムでは,2008年度在校生の方々にも発言していただいた。

「直接デザインに役に立つ事を学ぶのではなく,
 デザインの根本的な感性を養う場所だった」
「技術的な小手先のことではなく,
 ものをつくる時の心構えを学びました」
「考え方や発想の仕方等,デザインの本質的なことを学べました」
「グループワークによって自分の意思や考えを
 きちんと伝えることを勉強させられました」
「独学で学ぶのではなく,周りに30人の仲間がいて学ぶ環境が大事だった」
...等多数の感想をいただいた。

シンポジウムの最後では中垣代表から09年度のカリキュラムについて詳しい説明があった。08年度とは講師の組み合わせを変えて授業を行うこと,基礎過程に加え専門課程が新設されることが発表された。


多くの方にお集り頂いた事をミームデザイン学校事務局共々ここでお礼させて頂きます。 ありがとうございました。





参加者の皆様の御感想
大変楽しく聞くことが出来ました。来期受講出来なくとも本日は良い勉強になりました。今後何かチャンスがあればこういった場を色々設けていただけたらありがたいです。(派遣社員)

言葉と声の関係,身体を使ってデザインをしていくということ,想像力,創造力を養うということなど,心に残るものばかりです。小手先だけの作業で仕事が流れていくというお話がありましたが,自身の周りだけを見てもその通りだと感じます。(装飾業)

多忙な毎日で好きだったものづくりの楽しさ,こだわりぬく思いを忘れそうになっている自分に不安を覚え始めました。デザインの原点を思い出すのには,大変面白く刺激が大きい教室のようで興味をもちました。(デザイナー)

思っていた以上に活気があり,社会の中でのデザインの役割について真剣に取り組んでいる学校だということが分かり魅力を感じました。また現代で手だけでデザインを学ぶというのも他の環境にはないものが得られるような期待を抱きました。(デザイナー)

学校のコンセプト・雰囲気などが大変よく分かり興味が高まりました。(デザイナー)

野次馬的に参加しましたが面白かったです。生徒さんの仲が良さそうに見えたのが羨ましく思いました。(その他)

思っていた通りテクニックよりも根本的な部分をたのしく学ぶことが分かりました。(デザイナー)

デザインは削ぎ落としかプラスしていくかという話が面白かったです。身体性のお話も刺激を受けました。デザインに対する考え方が改まりました。(デザイナー)

人間性の回復という言葉が,いちばん心に入ってきました。アクチュアルな動きのある新しい場に自分を投げ込みたいなと思いました。それから生の勝井先生の姿にふれられたことが幸せでした。(会社員)

ミームでやっていること,方向性など具体的な話が生で聞けて本当に楽しかった。(プログラマー)

個を越えて考えていく場を具体的につくろう,ということだと理解しました。(デザイナー)

緊張もしましたが,楽しかったしもっとデザインを知りたいと思いました。(デザイナー)

ミームの事はあまり良く知らない状態だったのですが,在校生の方々の体験談が聞けて理解が深まりました。(デザイナー)

やや長めでしたが,先生方,生徒さんの生の意見が聞けて参考になりました。中垣先生のおっしゃっていた「環境によって人は成長する」という言葉が印象的でした。(デザイナー)

有名な方々がいて本当にびっくりしましたし,とても心強く思いました。様々な考えや知識,経験ができる場所だと思いました。(デザイナー)

どのような学校か理解が深まり良かったです。ありがとうございました。(デザイナー)

デザインの魅力,大切に思っていたことを改めて感じたり,新たな視点から見つめ直せた気がします。とにかく楽しそう!とわくわくしました。(デザイナー)

学校についての不明点・疑問点が明らかになる明快でわかりやすい説明会でした。それぞれの先生達の率直な意見が聞けてよかったです。(学生)

楽しかったし,すごくわくわくしました。今を代表するデザイナーの方々はこんなにも頭が柔軟なのかとびっくりしました。(DTPオペレーター)

講師の先生方も楽しまれているということを伺ってとても興味がわきました。(学生)

自由な雰囲気で普段聞けない第一線のデザイナー等の方々の話を聞けて刺激になりました。学校のカリキュラム,授業の考え方がとてもしっかりしていると思いました。(デザイナー)

お話が面白くて楽しくて,胸がおどりました。(デザイナー)

とても刺激的で面白かったです。また授業見学もしたいと思いました。(デザイナー)

講師陣や教室の雰囲気に魅了されました。(デザイナー)

想像していた通りの,とても刺激的で面白い学校だと感じました。「デザイン」の本質に触れる・学ぶ・吸収する場としての学校,本当に素敵です。そして多くの仲間たち,師に出会えるという点も魅力的で,お話を聞けば聞くほど「私も参加したい!」と思いました。元気になった講座でした。(主婦)

SkillよりWill(志)が大事であることがあつく伝わってきました。すごく良い空気でした。(営業)

会場に入り,一番最初に思ったことは,席のならべ方や参加者の間に講師の方々が座るという形式がとても面白いと感じました。ミームは人と人とのつながりをとても大切にすると聞いて,その思想が座席の並べ方にも出ている気がしました。授業の詳しい内容こそわかりませんが,講師や生徒の方々のお話はとても楽しく,自分も入学して体験してみたいという気持ちが強まりました。(学生)

デザインのそぎ落としやプラスしていく考え方の話が面白かったです。一度の機会で,様々な方の意見が聞くことが出来た事が良かったです。(デザイナー)

皆さんが「こういう授業をやれたら」と思っている事を真っ直ぐに実現されているように思いました。生徒の皆さんもとても楽しそうで羨ましく思いました。(デザイナー)


















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