09基礎課程-5 「錯視であそぶ」(講師:勝井三雄+佐藤隆夫)レポート



人間は必ずしも外界の情報を正確にみている訳ではありません。私たちが理解するのは、視覚でとらえたものを記憶や主観と結びつけ、脳で解釈した結果だからです。本講義では、五感の中でも現代人が第一義的に信用している「視覚」の不思議にスポットを当て、デザインへの応用可能性を探究します。デザイナーの勝井三雄氏と認知心理学者佐藤隆夫氏が、それぞれの立場から様々な研究事例、歴史上の代表作品、自身の作品等を紹介し、また実習課題を通して「形」と「色彩」の魔術を楽しみます。
日時|2009年11月14日〜12月12日(全4回) 
会場|カルチャーサロン青山 
講師|勝井三雄+佐藤隆夫 >>>講師プロフィール 

[第1回] 11/14
講義の流れ:勝井レクチャー「過去作品紹介-特に視覚と関わりの深いもの」 >>> 佐藤レクチャー「視覚の仕組み」 >>> 生徒実技+講評「ルビンの壺」
勝井氏のレクチャーでは、過去の作品を説明しながら、人間の視覚を意識してどのようなデザインが可能か、豊富な事例が様々に紹介された。次に佐藤氏が、人間の視覚原理について、実験心理学の観点から解説。ものをみるプロセスがどのようになっているか、動物との比較や、記憶との関係など、多様な観点から説明があった。レクチャーの後、実際に錯視を体験するために、代表的な事例である「ルビンの壺」を作成。生徒全員の作品を机に並べ、講師からの講評を受ける。




[第2回] 11/21
講義の流れ:生徒実技+講評「アルファベットを用いたグループ制作」 >>> 生徒実技+講評「身近な物のシルエットを素材に制作」
生徒は2つの実技課題に取り組んだ。1つ目は、アルファベットを用いたグループ制作課題。文字の「かたち」を観察し、そこから発見した面白さを自由に作品へと展開した。2つ目は、身近な物のシルエットをテーマに制作。いずれの課題も「かたち」のもつ面白さを、平面上の「地と図」という関係の中で、どこまで引き出せるかが鍵となった。今回の課題は難易度が高く、生徒は時に苦戦しながらも、手を動かしながら自分なりの答えを探した。講師が対話しながらの講評では、一つ一つの作品に対して、細かな意見が出された。




[第3回] 11/28
講義の流れ:勝井レクチャー「色彩について」 >>> 佐藤レクチャー「視覚の仕組み2」「色 彩について」 >>> 生徒実技+講評「アルバースの色彩実験」 >>> 生徒実技 「ロトレリーフ」 >>> 勝井レクチャー「視点について」
勝井氏のレクチャーでは、色彩をどのように分類、把握するかについての様々な方法を紹介。DIC色見本制作時の自身の体験も語られた。佐藤氏は,まず前回の続きである人の目がとらえる地と図の関係について語った後、色彩について講義。色は単体では存在せず、周辺の色に影響を受けることで、同じ色でも時に違った色として知覚される。その後、ジョセフ・アルバースの色彩実習に倣い、生徒が実際にトーナルカラーを用いて、色同士が及ぼし合う影響を体験。次に、マルセル・デュシャンの行った回転図形の実験の紹介があり、その実習を行った。最後に、勝井氏から、視点についての講義があり、視覚のトリックを用いた数々の作品が紹介された。




[第4回] 12/12
講義の流れ:佐藤レクチャー >>> 勝井レクチャー >>> 最終課題のプレゼンテー ション+講評
まず、佐藤氏が錯視の図版を例に、人の脳が理由付けして現象をみてしまうことを説明。続いて勝井氏が、自身の作品を例に色彩の対比についてレクチャーを行った。後半は、生徒の最終課題の講評。生徒は、興味を持った錯視の現象を利用して、作品を制作してきた。立体視を用いた絵を一冊の本にまとめた作品や、ロトレリーフの作品、色の残像効果を用いたものなど、多種多様な作品がプレゼンテーションされた。最後に両先生方から、普段から「みる」ことに対して感度を高める習慣をつけること。そのためには、物事をよく見て、記憶し、深めていくことが大切であり、常に面白いことに敏感でいることが重要だ、と総括の言葉をいただいた。



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